「インサイド・ジョブ」を観ればトランプ氏が当選したアメリカの格差社会の背景がわかる
格差社会アメリカ
今も毎日のようにトランプ大統領に関する報道がされて、多くは批判的な内容です。
しかし、現実としてアメリカ国民の支持されて大統領に選出されています。
現在のアメリカが大きな問題を抱えており、その問題を解決する取り組みを表明したトランプ大統領に期待する人が多いからでしょう。
Google、Apple、Amazonなどの圧倒的な成功を収めた企業を生んだ国であるアメリがですが、同時に貧困層が拡大しているという側面もあります。
アメリカの格差社会という大きな問題を少しでも知ることができれば、現代のトランプ大統領誕生の背景を理解できるのではないでしょうか?
この「インサイド・ジョブ」はリーマンショックと言われた世界経済の破綻を検証した素晴らしいドキュメンタリー映画です。
虚構のアメリカ金融業界
アメリカの金融業界は投資銀行や証券会社、投資家や一般庶民に価値のない証券を売ったり、詐欺同然のローンを貸し付けたりして、自社の利益のみ追求していました。
証券会社や投資家だけでなく、ブッシュ政権化のポールソン財務長官やハーバード大学の教授など一般庶民を守る立場の人までもが、この詐欺行為に加担します。
最終的に金融破綻しサブプライムローンに起因するリーマンショックが起こりました。
この結果、多くの投資家が財産を失い、サブプライムローンで住宅を購入した人は財産を失い住宅も差し押さえられてしまいます。
一方で、投資銀行や証券会社の数千万から数億円の報酬を受け取ったあげく、政府による税金での救済措置で会社を存続させます。
このような不平等な仕組みがアメリカの格差社会を産み出しました。
現在も1%の富裕層以外の99%の庶民は、この不平等な仕組みによって苦しい状況での生活を強いられています。
オバマ政権でも変わらなかった
オバマ大統領は選挙時には、投資銀行や証券会社を批判し、彼らが不当な行為によって利益を出ないようにすることを表明しました。
そして大統領に就任したときは、多くの人が格差社会の解消と不況脱出を期待しました。
例えば金融業界の役員などが退職金などを受け取らないように指示しましたが、実際には誰にも責任を問うことはせず、規制による改革は行いませんでした。
それどころか、リーマンショックの原因をつくったバーナンキを米連邦準備理事会に再任命して、事実上この構造を継続させることを選びました。
結果として、より巧妙な形で金融業界の影響力は強くなり格差社会は解消されず、格差は加速していきます。
この映画には、私欲のために庶民の生活を破壊した金融業界とアメリカ政府に対する憤りを感じるとともに、権力を持つものが今でに支配力を持ち続けている現実に対する絶望感も感じます。
まとめ
オバマ大統領はキューバやベトナムとの国交回復、広島への訪問、ハワイへの安倍総理の招待などの成果は評価されるべきでしょう。
しかし、アメリカ国民の最大の関心事である格差社会の解消に対しては、国民の期待を裏切り、失望させました。
オバマ大統領は理想論を語りましたが、実際には何も変わりませんでした。
そのことが、彼と彼の指示する民主党のヒラリー・クリントンが今回の大統領選挙で敗れた原因の一つになっていることは明白です。
オバマ政権で苦しい生活を強いられた庶民は、同じようなタイプのヒラリー・クリントンを支持せずトランプ大統領に期待をしました。
この映画を観たら、荒唐無稽とも思えるトランプ氏を大統領に押し上げた原因となったアメリカの抱える問題の大きさが理解できるでしょう。