邦画史上に輝く衝撃的な問題作「太陽を盗んだ男」
衝撃的なストーリー
知人と面白い邦画について話していて、絶対はずせない映画としてこの作品が挙がりました。
とにかくストーリー自体が衝撃的です。
普通の中学校教師が原爆を製造し日本政府を脅迫するという、反体制的かつスケールの大きい内容です。
脅迫する過程での刑事との壮絶な死闘や、当時の日本の世相を反映した出来事が生々しい恐怖と狂気を表現しています。
重々しいストーリーと強烈な個性を持つ役者の存在感による映画のパワーは、現在の邦画では見つけることはできないでしょう。
沢田研二の絶妙な演技
沢田研二は歌手としてデビューしていますが、俳優としても素晴らしい才能を発揮しています。
無気力で平凡な中学教師の内面の孤独と狂気を魅力的に演じています。
鬱積した虚無感から逃げ場のない犯罪を犯し、自らも放射能を浴びて破滅に近づいていく様子は鬼気迫るものがあります。
ちなみにこの演技を認められて、日本アカデミー賞の主演男優賞に(受賞は逃していますが)ノミネートされています。
脇役の強烈な演技
主人公との死闘を演じる刑事役に今は亡き菅原文太です。
犯人を逮捕するための執念と命を懸けて闘う正義感を持つ刑事を演じ、体を張った演技によるアクションシーンは強烈な映像です。
また主人公の協力者となる女性を池上季実子が演じています。
狂気をはらむ主人公に魅了され、破滅的な道を選んでしまう女性の強さと哀しさを繊細に演じています。
まとめ
古くて非常にクセの強い作品ですが、邦画を語る上で絶対外せない作品なので映画好きな人には強くお勧めします。
余談ですが、最近の邦画でこの映画に近い衝撃的な作品は、個人的には北野武の「その男凶暴につき」だと思います。
日常の平和の退屈さの裏に潜む狂気を感じさせる映画として共通するムードがあります。