キンコン西野の「無料公開」問題の本質
キンコン西野炎上の概要
お笑い芸人キングコングの西野が絵本を出版しましたが、子供がお金がないので読めないので「無料公開」しました。
このときのブログは、「お金の奴隷解放宣言」という(おそらく意図的な)炎上狙いのタイトルにしたため注目を集めました。
もともと、彼はネット上で言動を揶揄されていて、本人と周りのスタッフもそれを利用したマーケティングをしていました。
今回は有料の絵本の「無料公開」ということで、クリエイターと自称している同業者から批判されています。
無料公開の問題点
彼の今回の「無料公開」で指摘される問題は以下の内容です。
有名人が無料にすると他のクリエイターも無料公開を要求されて、クリエイターに対価が払われなくなる
この指摘が適切かどうかは現時点では判断が難しいですが、これだけ反響があるということは、こういった「十分な対価が支払われない」問題を経験している人が存在するということでしょう。
この問題で西野はどうすべきだったのか?
この無料公開が「ダンピング」に相当するとしている人もいますが、現実的には個人の作品を無料公開することは法的に全く問題ありません。
むしろ誰かが違法アップロードする場合などは著作権の問題が発生します。
彼が無料公開を中止しなければいけない理由はありません。
彼(とその周りのスタッフ)の一連の行動から判断すると、ネットやマスメディアで有名人ということを最大限利用して、とにかく注目を集めるということを最大の目的にしていると思います。
今回の炎上騒動も、彼とスタッフの想定内の反応でしょう。
ネットニュースで取り上げられて、結果として彼への注目が集まり、作品もさらに売れたようです。
彼は芸能人が本業であり、その知名度を利用して絵本を書いただけなので、クリエイターとしての配慮を気にする必要がないのです。
つまり、芸能人としての適切な行動=注目を集めること、をしたので今回の無料公開は彼と彼のスタッフにとっては大成功という結果だと思います。
無料公開を前提としてビジネスモデルの時代
絵本の公開というのは珍しいですが、ネット上の無料サービスというのは既に一般的になっているものです。
映画関係者や音楽関係者はインターネット上で、ライブやグッズなどのプロモーションとして作品の一部を無料公開したりしています。
音楽CDなどは、悪名高い「握手券」などのオマケ目当てでCDを購入させる手法くらいしか対策がありません。
スマホゲームやWebサービスなどは、機能制限された無料版を公開し、便利な機能を有料版で収益を上げています。
さらにGoogleなどは、検索機能、地図、メール機能、ドキュメント作成機能、翻訳機能などの高機能のサービスは、サービスに広告を表示させることで無料で公開しています。
多くの人に無料でサービスを公開し、それを前提に収益を上げるビジネスモデルが一般的になっています。
無料公開のメリット
現代のコンテンツやサービスに無料での提供を要求するユーザーが増えています。
西野と彼のスタッフも、「有料なら購入しない人」や「ただで違法で入手する人」に無料公開しても損はしないと考えていると思います。
むしろ、芸能人としては注目されてことのメリットのほうが大きいはずです。
芸能人とクリエイターの違い
今回の問題は、「どんな手段でも注目を集めることを目的とする芸能人の立場」と「作成した作品に正当な対価が払われることを主張するクリエイターの立場」が相容れないことが原因となっています。
絵本の収益で生計を立てているクリエイターは、無料公開ということはしないはずです。
まとめ
本質は芸能人の副業の絵本が売れすぎてしまったことにあります。
話題にならず売れない作品なら、無料公開されても誰も気にしません。
また、クリエイターが正当な対価を受け取れていないという感覚を持っている人が多いことも問題です。
しかし、インターネットの普及でコンテンツやサービスの価値が下がっていく傾向を止めるのは難しいでしょう。
モラルや規制に頼らずに、クリエイターが収益を上げる方法を考えることが必要だと、今回の騒動で考えさせられました。