漫画界の異端児 木多康昭が描く「喧嘩稼業」という漫画がスゴイ
天才漫画家による格闘技漫画
本作の作者である木多康昭氏は、天才的センスと迫力ある描写で他に類を見ない漫画を発表してきました。
過去の作品である「幕張」や「泣くようぐいす」で過激な下ネタや罵詈雑言のネタを多用し、騒動を起こして最終的には打ち切りになっています。
そんな彼が過激な表現を抑え気味にして、格闘家の激しい戦いを描いた作品がこの「喧嘩稼業」です。
大迫力の格闘シーン
青年誌である週刊ヤングマガジンで掲載しているためか、この作品は少年誌のような「痛みの伝わらない戦闘」ではなく、「後遺症が残るほどの痛々しい格闘」を描いています。
出血や筋断裂は当然として、さらに四肢の切断、失明、開放骨折なども生生しく描写されているため非常にシリアスなストーリーが展開されています。
ただし、それ以上に格闘技の技術と歴史の知識に裏打ちされた格闘シーンは非常に迫力があり、この漫画の大きな魅力になっています。
高度な心理描写
この漫画での格闘家は、事前の情報操作やドーピングなど反則行為なども当然のように行うなど、勝利至上主義の思想が貫かれています。
主人公である佐藤十兵衛が闘っているときも、相手を騙すような言葉を使い、優位に立つために卑怯な手段を使います。
その緊張感が次に何が起こるかを読者が予想し、その予想を裏切るような衝撃的な事態が起こっていきます。
ギャグ漫画的なシーンも面白い
この漫画の前章的な位置づけの「喧嘩商売」という漫画は、かなり笑いネタの要素が多くてギャグ漫画としてもインパクトがありました。
下ネタが多いので女性には抵抗があるかもしれませんが、男性には共感できるようなネタばかりです。
まとめ
作者の格闘技への思いが伝わり、格闘家をリアルに生生しく描く強烈な格闘技漫画です。
実際の格闘技のファンも、迫力がありながらも緻密な描写と格闘家の勝利への執念に圧倒されるでしょう。
不遇の天才漫画家が才能を存分に発揮した素晴らしい作品です。